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1357 杜甫のように [詩・エッセイ]

 
「杜甫のように」
 
中国の詩人
杜甫は
春着を質屋に入れ
ほうぼうに飲み代ををツケまくり
酩酊するまで飲んだくれ
どうせ七十歳まで生きられることは稀なのだから
ほんのしばらくでいいから
のんびりゆっくり
ほめあい 背きあうことがないようにしようと
人生を謳歌した人
 
その稀なる歳まで私は生きてきたというのに
ふり返って見れば
諍いをおこしたり
悔やんだ り
後悔したりすることばかり
 
杜甫がうらやむこの歳まで生きたのだから
すべては移り変わっていくのだから
せめて
酩酊するまで飲んだくれるのだけは大得意なんだから
この素晴らしい大自然とともに
この素晴らしい景色を愛でながら
杜甫が言うように
ほめあい 背きあうことがないようにしようと思う

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1356  哀しいかな 哀しいかな [詩・エッセイ]

 
「哀しいかな 哀しいかな」
 
わたしの畑に
キジバトのつがいが来るようになったのは
5~6年前くらいからであった
 
お気に入りの日は
ご馳走がどっさりと出て来る
鍬で畑を耕すとき
どっちが夫でどっちが妻であるかさっぱりわからないけれど
そこらじゅうを歩き回りご馳走を堪能して
知らない間に帰ってしまう
 
ときには一羽が竹竿にとまり
相方を呼ぶ
デデッポーポー デデッポーポー
デデッポーポー デデッポーポー
と鳴くので
わたしも真似をして
デデッポーポー デデッポーポー
デデッポーポー デデッポーポー
と唱和すると
デデッポーポー デデッポーポー
デテッポーポー デデッポーポー
 とまた唱和してくれる
キジバトとわたしのコラボを楽しんだこともあった
 
その後も
そのキジバトのつがいは
わたしの畑を縄張りだとでも思っているのか
キジバトのつがいは愛嬌のある歩き方で見回りを続けた
 
そのキジバトを観察していると
どうやらこのつがいには子どもが出来ないのか
いつも二羽だけで行動していた
 
今年の夏大雨が降った翌日の日のことであった
水溜りのできているところに
いつもの一羽だけが
まるで水浴びをしているかのような格好で
そこにうずくまったまま動こうとしなかった
よほど気持ちがよいのだろうと思い遠くから見守ることにしたのであるが
一時間が過ぎてもそのままの格好でいるので
わたしは不審に思いそばに近寄ると
いきなり羽音も高らかに飛び立ってしまった
飛び立つのを見て ああ元気だったのかと安心したのも
束の間
 
その水溜りは
鮮血で真っ赤に染まっていたのである
天敵の多いキジバトのこと
きっと襲われたのに違いないと確信したが
それにしても一羽だけだったのはどうしたことなのだろうと
心配でならなかった
それからしばらくキジバトを見ることができなかった
 
そのキジバトと再会できたのは
それから二週間くらいたってからのことであった
それも一羽だけであった
 
このキジバトは
この間の手負いのキジバトなのであろうか
それともあのキジバトはあの傷がもとで死んだのであろうか
一羽だけであらわれたキジバトはやつれはてていた
 
その寂しそうな一羽になってしまったキジバトのその姿を見て
わたしはついこのあいだ失くしてしまった
16年近くも連れ添ってきた愛犬みくのことを思い出してしまった
このキジバトも掛け替えのない相方を亡くして悲嘆にくれているのであろう
それでも生きなければならない悲しみ
 
愛するものを失う悲しみ
そのたとえようもない苦しみ
それが人であれ 犬であれ 鳥であれ
その悲しみに変りなどあるものか
 
 
あの高僧 弘法大師空海でさえ
空海がまだ山野修業をしていた僧侶の資格のない私度僧の頃に最初の弟子となった
姉の子 知泉が 高野山でたおれ帰らぬ人になると
空海は駆けつけ、一番愛した弟子 知泉の死を悼み嘆いた
 
「哀しいかな 哀しいかな 
また哀しいかな
   悲しいかな 悲しいかな 
重ねて悲しいかな
   哀しいことよ 哀しいことよ
 悲しいといっても
 帰らないということはわかっているけれど
やはり哀しい
  ああ悲しいことよ 悲しいことよ 
悲しいといっても
 帰らないということはわかっていても
どうしようもなく悲しい」
 
ほんとうの悲しみは、だれであろうと変わらないものなのだ。
そして、悲しいと思う心が、愛であり、大切なのだと思う。
 
 
 

 
 
 

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1355 鬼の棲む国 [詩・エッセイ]

 
「鬼の棲む国」
 
三匹の悪い大きな鬼が棲むという
熱い砂の国から逃れようとして
四歳の女の子
砂浜に打ち上げられ死んだ
それから
幾日もたっていないのに
今日は
三歳の男の子が
四歳の女の子と同じように
砂浜に打ち上げられ死んでいた
 
その何百倍 何千倍も
とても数え切れないきれない 人の命が
三匹の鬼の為に
逃れようとして死んだ
 
それでも
その三匹の鬼の傷口から滴らす
甘い蜜を吸うために
闇の中を蠢く魑魅魍魎たる鬼よりも悪い人と国がいる
 
かっては熱い砂の国から
富を簒奪した国々は
難民を万里の長城上のような鉄条網で押し返そうとしている
 
苦しみも悲しみも乗り越えてしまった
四歳の女の子も
三歳の男の子も
その様子を天上の世界から眼下の醜い争いを覗いているのだろうか
 
 
 
 
 
 
 
 


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1354  水を治める [詩・エッセイ]

 
「水を治める」
 
水は命の糧であり
命の源である
 
中国古代の春秋時代
五覇の一つである斎国の宰相の管中は
善く国を治める者は
先ず水を治めると熱弁し
国を治める上で根本的な国家の大計であると言っている
経済発展と社会秩序の安定にとって
重要なのは
川の氾濫を抑え国民の安全を守る
それが
天下太平 国家の繁栄をもたらすと言っている
 
近年 世界中で発生している異常気象の原因は
地球温暖化にほかならない
その温暖化を
ますます暖めているのはいったい誰なのだ
 
今の世界が不幸なのは
世界の
国家の指導者のうちで
ただ一人として
水を治めようとする指導者がいないことである
 
為政者たちは権力闘争に明け暮れ
四度も核被爆を国民に浴びせてもなおも懲りずに原発を動かし
国家そのものが汚職にまみれている国があれば
独裁者がのうのうと生き延び ている国もある
一千年以上の長きにわたり一つ神たちの戦争は今もなお続いている
そんな世が長く続くと
人々は
何が善であるか
何が悪であるかさえ解らなくなってしまっている
 
聞いたこともないような
異常気象言葉が
そのことを言葉少なく物語っている
 
 

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1353  本と老人 [詩・エッセイ]

 
「本と老人」
 
古い よき時代に大切にされたもののなかに
本と老人がある
 
今の わるい時代に二束三文の値打ちしかなくなってしまったものがある
本と老人である
 
名作と呼ばれた本が
百円の半額で売られている
 
その道を究めた老人の鼻と口にはチュウブが差し込まれ
 生物学的にはまだ生きている
 
場違いな所に置かれた
本は
居場所を求めて動けなくても彷徨っている
 
意識もないのに薬漬けになって 生きている老人は
その居場所を求めて動けなくても彷徨っている
 
本は何のために生まれて来たのだろうと思いながら
人は何のために生きているのであろうと思いながら
 
動けない本と老人は
戸惑いながら彷徨いつづけている
 

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